【2024年度】勉強対策についての概要(専門科目)
お疲れ様です。kawakoです。
東大航空の院試を経て、それに向けて行った勉強対策(専門)について紹介します。ネット上の、対策を十分にされてきた先輩方のブログの方が参考になると思いますので、この記事は参考程度にしてください。
前回の勉強対策の概要で触れた専門科目についての詳細について書きます。同じ学科の後輩がどのような授業を履修すれば有利かというところを書いておこうと思います。別に履修していなければ点数が絶対に取れないというわけではないので、参考程度にしてください。
<院試の科目と自大の授業科目との違い>
<専門>
・固体力学(材料力学、構造力学)
・航空宇宙システム学(飛行力学、制御学)
・推進工学(熱力学、機械力学)
前回は上の4科目が試験科目として出題されると記載しました。自分の学科では基礎と応用が分かれて授業が構成されていたようなので、意外と機械系でよく言われる4力(材料力学、流体力学、熱力学、機械力学)が、試験科目のそれと比べて、ちょっと不足していたりします。ここは意外と重要なので気をつけてください。(前提として、機械系の学部にいたので4力は必修。)
いきなり東大航空の話だと分かりづらいので、初めに、僕が併願で受けた自大と東工大の例(いずれも4力が試験範囲)で説明します。
・自大の4力の位置付け(自大、東工大の範囲(過去5年分より)、自分の視点から見て)
- 材料力学:
- 材料力学基礎(1年後期必) :引っ張り、曲げ、ねじり〜エネルギー問題等
- 材料力学応用(2年前期必):主応力問題、組み合わせ梁、重ね梁等(応用はみんな嫌いになりがちのモールの応力円とか座屈とかも残念ながらよく出る。導出等も必ず確認すべき)
- 流体力学:
- 基礎流体力学(2年後期必):流れの性質〜複素ポテンシャル等
- 粘性流体力学(3年前期選):基礎流体の復習も兼ねた授業だったので上と被るものも多いが、境界層(排除厚さあたり)とか、ナビエ・ストークス方程式を操れるようにすること等(粘性流体の僕の苦手だった境界層理論には入試前散々苦しめられた)
- 熱力学:
- 基礎熱力学(2年後期必):熱力学第一法則云々〜蒸気サイクル等
- 熱物質移動学(3年前期必):熱物質移動学はいわゆる伝熱工学ですが、この分野正直あんまり出題されない気がします。東大航空で熱流束を扱う問題一度だけ目にした程度で知らなくても勢いで解けてもおかしくない問題ではあった。
- 応用熱工学(3年後期選):数学的な準備〜サイクル等
- 機械力学:
- 機械力学(3年前期必):フリーボディ・ダイアグラムからの立式〜2自由度振動系等
- 振動学(3年後期選):n自由度振動系〜弦、梁の振動〜ふり子等
続いて
・東大航空での各分野的な位置づけ(全て網羅し切れてはいないと思うので参考までに)
- 流体力学:上の4力の流体力学に加え、
- 圧縮性流体力学(3年前期選):音速の式~プラントル・マイヤー関数等(自大での授業、今考えると神だった)
- 固体力学:上の4力の材料力学に加え、
- 弾性力学(2年後期選):一般的なフックの法則〜軸対称問題〜仮想仕事の原理
- 弾塑性力学:関連教科書を見たところ、軸対称、球対称問題とかが扱われていたような。これ取ってなかったので時期がわかりません、取ればよかったかもしれません。
- (塑性力学は取ってなかったので必要だったかわからない。多分大丈夫のはず(保証はできないが、とりあえず困らなかった気がする))
- (機械設計(正直マイナーなので気にしなくていいと思います。一番留年率が高い2年後期、3年前期の機械設計にあたる分野)が出たこともあった。持ち込み不可なのに設計?!ってなるやつ。持ち込み無しなら解けなくていいと思います。)
- 航空宇宙システム学:
- ※軌道力学(これは授業にないので独学でやる必要があります。典型例はロケット方程式とか。自分はUNISECの講座とかYoutubeとか参考書で少し触った程度)
- 自動制御(制御工学に当たる分野。弊学科ではここでしか対応できない。加えて、足りない要素(特に現代制御)も多いので自分で補う必要あり)
- 推進工学:上の4力の熱力学、機械力学(衝突問題とか、コリオリみたいな教養の物理学っぽい問題もあった)に入る分野、ロケットエンジンの話もあったが、それは参考書とかYoutubeとかサイトで補うしかないと思います。
<院試の専門科目に向けての対策(東大航空向け)>
・全体的な勉強の仕方
大体やることは以下のような点だと思います。
①過去問研究
後で簡単に紹介する東大院試サークルESCAPEというサークルでも記載があったのですが、大学受験同様、過去問研究が院試でも重要となります。ここからスタートすれば、どのような分野が出るのか、難易度や問題量などを把握できるので今後の学習プランが明確になってきます。
②復習・調査・学習
①の過去問研究でわからないところは授業資料、参考書やWeb上の記事などを読み漁って答えや解答のプロセスを考えていくと共に知識をつけていく
③問題演習(個人的には補助という名目)
過去問を解くことそのものが問題演習と見做せるとは思いますが、ここでは問題集の扱いについて個人的な意見を書きます。
四力精選などの問題集などを通して問題演習をやるというのも確かに対策としては有効だと思います。しかし、自分と同じような、時間が限られている人にとっては効率的に最低限をやりたいと思います。その場合は、全部問題集をやるというよりも、過去問からスタートして復習や補助として問題集を使う方が効率が良いのではないかと思います。研究室訪問した際の先輩もおっしゃってましたし、自分もそのように四力精選を使ってました。
ただ、今まで受けてきた授業の授業資料や教科書などで復習しても問題演習が足りないという場合があります。自分も流体や制御工学などに関しては、非常に演習が不足していたので、4,5月ごろに仲間と過去問を解き合っているときに演習不足を指摘され、それを機に補強として四力精選を利用することにしました。
・過去問の勉強の仕方
初めに東大院試サークルESCAPEというものを簡単に紹介します。僕は院試関連調べている時に、これをTwitterで見つけました。(このサークルは合格者の方や一般的な勉強方法とかも丁寧に説明されていたりするマニュアルのようなものが共有されたりするのでものすごい良いと思います。意外と知名度が低かったりするのですが、自大以外で同志望の仲間と勉強する仲間を見つけるにはここ以外僕は考えられないと思います。)
このESCAPEで知り合った関東、東北、関西からと幅広く集まった何人かの同学年とオンラインで勉強会を週一くらいで開いてペースを作っていました。最初は2月くらいにスタートして、2022年の午前の流体だけやってこよう。みたいな感じでやっていました。
当時は問題の肌感覚を掴むのにかなり苦労したり、TOEFLも数学もやらなきゃという感じだったので、その1科目をやるだけでも1週間しんどかったです。勉強仲間も、インターンで解く時間なかったみたいなパターン結構ありました。院試って本当に忙しい中でやるのでしんどいんですよね。
続きですが1科目のうち、頑張って考えても、メンバー全員で考えても解けない問題がちょこちょこあって、それを放置したり、見直したりみたいなことをして引きずってしまっていたので、2年分くらいやったあたりで、復習のタイミングを設けたりしてペース調整してました。
その後、その年の午前のセットを1週間で取り組むという具合までペースを上げて、最終的には5年分やりました。最低限できたんじゃないかなと思います。ちなみにコロナ禍だった2021年の問題が持ち込みアリの年度だったのですが、結構難しく、飛ばしても良かったかな〜と思ったりします。
結果的に期間としては、2~直前の8月までなので6ヶ月ですかね。こればかりは時間をかけて習得していくしか無いと思うので、答えがない状態で短期間で底上げするのはしんどいです、多分。
<専門科目対策で良かったと思うこと>
基本答えがないので当たり前ではあるのですが、仲間と一緒に考えたことです。もちろん、およそ毎週、決めた年度の午前もしくは午後の問題を解きあってくるのですが自分なりの答えを出すのに参考書を参考にしても良いのでとにかく自分の頭でよく考えぬくことが、やったことがある問題というのが基本出てこない東大航空の初見問題の雰囲気に対応できるようになることにつながると思います。
<反省点>
個人的な反省点としては、参考書を見過ぎた点が挙げられます。
問題に対して全然解けないという状態だった2~3月くらいに関しては、問題の分野をさらっと把握して、その分野に関するがっつりとした復習を大学の授業資料等で行っていました。
3年分やったあたりから徐々に復習の量は減ってきて復習よりも問題集(この時は4力精選を買って持っていたので)から類題を探して、それをやってから東大航空の過去問に挑戦していました。
このやり方を4,5年分目あたりから類題を解くやり方を改めて、何も見ずにぶっつけで解くということをやるべきだったかなと思います。というのもやはり直前期になって、初見問題に対する耐性がまだついておらず、見たことがある問題はとりあえず大体解けるという具合にはなっていたのですが、逆に見たことがない問題には歯が立たないことが少々あった気がします。
(と言いつつ、見たことがない問題は結構、捨て問題、もしくは方針だけ記述して飛ばす、というのが有効だったりする確率が比較的高いので優先順位は間違いなく低いです。マニアックな問題をいくら復習しても次につながるかと言われると少し微妙なところがある気がします。)
<おすすめの参考書(東大航空向け)>
基本的に授業資料がメイン(同じ学科でない方には申し訳ないです)でしたが、プラスで紹介しておきたいと思っているものを挙げておきます。
・四力・制御精選
分野に慣れるという用途としてはかなり良いです。しかし、先述した通り全てやる必要はない(その大学特有の問題があったりします)と思います。東大、京大、東北、東工大といった難関大学の過去問を精選して解説がついているというもの。誤植がちょこちょこあるので注意。まだ新しいので誤植リストみたいなネットのサイトはまだ充実していないような模様。
・例題でわかる 基礎・演習 流体力学
:弊学科の流体の教科書。基礎を固めるのに良いと思います。流れ関数、ポテンシャルなどについてよく学べます。
・圧縮性流体力学(第2版):内部流れの理論と解析
:圧縮性流体力学でわからないことは基本これみればわかります。というくらい広い範囲をカバーできる気がします。とても参考になりました。第2版になって例題などが増えて内容が充実したそうです。これは持っておくべき1冊でしょう。
・航空宇宙工学シリーズ:空気力学、圧縮性流体力学、粘性流体力学
の三冊も時々使いました。これも参考にする程度ではありますが、薄い本なのでコンパクトにまとまっていて概要を掴むのには良い気がします。
・航空力学の基礎
飛行機系の翼の話だけでなく、空気力学的な内容なども含んでます。年によっては、かなり参考になるのでおすすめです。
・固体力学(材料力学、構造力学)
・もう解き方で迷わない ステップ解放で学ぶ 材料力学
基礎的な内容からモールの応力円や薄肉円筒などの範囲も扱っており、かなりお世話になりました。
・機械系 大学講義シリーズ1 材料力学(西谷 弘信)
大学の材料力学応用という授業で使用していたものです。これもモールの応力円導出や組み合わせ梁などの分野でよく使用しました。
・材料力学(中井 善一)
メカズシブログで紹介されていたのですが、軸対称問題などについても扱っており、かなり参考になりました。図書館で借りて読んでいました。
・基礎から学ぶ 弾性力学
東大の内部生が使っているものとは別ですが、弊学科の授業の教科書として使われていたものです。弾性力学はなかなか慣れない問題多かったので、結構見ました。
・航空宇宙システム学(飛行力学、制御学)
・軌道力学的な分野
・UNISECの講義
自分はこれを取っていたということを以前書きましたが、それは僕に取っては結構重い内容でしたので参考としてたまに見る程度でした。
・惑星探査機の軌道計算入門
参考書としてはこれを図書館で借りたりしていました。
・演習で学ぶ 基礎制御工学 新装版
これは古典制御の分野では、結構使いました。
・演習で学ぶ現代制御理論 新装版
これは現代制御の分野で、お世話になりました。状態方程式についてはもちろん、可制御性、可観測性についても学べました。
・推進工学(熱力学、機械力学)
・熱力学分野
・熱力学(JSMEテキストシリーズ)
エントロピー関連やサイクル関連でよく使いました。併願対策にももってこいでした。
推進工学ならではという感じの分野に使用しました。これは年によっては重宝しました。
・機械力学分野
・振動工学の基礎
これは有能でした。振動系の話は基本これで十分ではないかというレベルで網羅されていた気がします。
長くなりましたが、一旦こんな感じです。リンクが埋込だったり、ただのリンクみたいなものだったりしてわかりづらく申し訳ないです。また何か追加することがあれば追加します。
次回は数学対策について書こうと思います。
読んでいただきありがとうございました。